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羽田空港 駐車場からのアドバイス

「再任する、しない」という具合に用語に気を使っている。
例えば、課長の場合、「業績考課」「能力査定」「管理職務適性」「賞与業績考課」の4つのチェックポイントについて、年間6回の考課が部長によって行われる。 業績考課は営業職の場合、売上予算達成度に企画力、達成力などの考課を加味して決める。
管理職適性は、経営意識、部下指導、上司補佐などの点について考課する。 賞与業績考課は、ボーナスの一定割合について、税引き前利益で予算をどの程度上回ったかに応じて割り増すインセンティブ制度で、予算未達だと、ボーナスが削られる。
同社では、管理職ポストに関しては「契約」の概念を取り入れているわけである。 できるかぎりドライに、業績、能力で割り切り、ポストの回転をよくして、有能な人材が然るべきポストに早く就けるようにする狙いである。
B社長はこう語る。 「この任期制には労働組合も賛成してくれている。
私は関連会社を沢山作ったが、それで処遇するのにも限界がありますよ」。 さらに「もっと大胆なポストの運用をしてもいいと思っている」と言う。
「抜擢、2段飛びなんかを積極的にやれと言っています」。 B社長自身、38歳で社長に大抜擢された人物である。

あれからもう20年目を迎えた。 「20年は長いね。
38歳で社長になったのが、異常ですよ」と本人は苦笑する。 あまり若くして抜擢されると、後で困る面がある。
しかし組織は絶えずかき交ぜていないと淀む。 Oでは、2年前に係長から部長に2階級特進させたケースが2人あるという。

自動車、電機などの裾野の広い組立産業では、最終の組立ラインから部品メーカー、一次下請け、2次下請けにいたるまで、綿密なチームワークで動いている。 T自動車が元祖であるカンバン方式では、組立工が部品を組み付けるたびに部品メーカーに回すカンバンが、必要最小限の発注指示となる。
受け取った部品メーカーはそれを見て生産し、指示された時間に組立工場に納品する。 こうして、その日必要な時間に、必要なだけの部品がラインサイドに到着する仕組みが完成している。
任期制によって管理職をあまり増やさずにやろうというわけだから、かなり厳しい面がある。 同社の課長は230人あまりで、全社の約7%である。
B社長は「当社のようなファッションビジネスでは、無事これ名馬というわけにはいかないんです」と言う。 役職を権威付けて荘重な経営をしていてはP市場の変化に適時適切に対応するのはとても無理だ。
これは今や、アパレル産業などの一部の業種にだけ当てはまるわけではない。 これは企業間、工程間の相互信頼と、行き届いた生産管理のたまものである。
どこかの箇所で、いい加減な対応をしたら、たちまちそこで連鎖は途切れ、組立ラインは部品不足で止まってしまう。 そうはならないのは、同質的な従業員が力を合わせて仕事をしているからで、管理者は間違いなく円滑に仕事が流れているかをまさにきめ細かく管理している。
職場の課長なり、職長なりは、朝出勤すると、部下の顔色を見る。 元気のない部下がいたら、「どうした」と一声かける。
心配事があれば相談に乗る。 部下の家族状況や経歴は頭にいれておく。
人事異動などは、そうしたバックデータを念頭において考える。 こうした管理業務が、息の長い仕事を間違いなく進めるうえで欠かせない。

これまで製造業では、決められた品質を守って大量生産を維持するために、当然のことながら職場秩序が重視された。 それは上下関係を乱さず、年功的な価値観を守ることにも通じる。
企業や系列などの巨大なシステムの運営を間違いなく遂行するうえで、ベクトルを合わせて秩序を維持する管理業務は不可欠だった。 オフィスの仕事でも管理業務の勘所は基本的には変わらない。
ところが、市場が変わり、系列関係が緩み始めると、組立メーカーはもちろん、部品や下請けメーカーも、それぞれが独自の判断で顧客を探し、商品を開発して行かなければならない。 従来の内向きの管理業務が持つウエイトは下がり、市場に顔を向けた変化に富む仕事がかなりの勢いで入り組織のまとめ役であり監督役であるという、文字通りの管理職は、仕事が変化したために、それほど多くいらなくなってきた。
管理職は賃金も高いから、現在のように不況だと、固定費削減の標的にされやすい。 物が売れず価格破壊などが進行するデフレ経済下では、企業の中で管理職のデフレが進む。
従来型の管理職は企業構造の観点からみても先細りは免れない。 今、ホワイトカラーの低生産性が問題だとして、多くの企業が間接部門の縮小や、小さな本社を目指す動きを始めている。
成り行き任せの経営をしてきた結果、本社管理部門が膨れ上がり、人材を生かせず、場合によっては、つまらぬ仕事で腐らせている例が少なくない。 定見なく人を増やしてきた経営者に責任があるわけだが、合理化によって結局、割を食うのは管理職層である。
間接部門を削れば、当然、管理職減らしを伴う。 釘打ち機や文具のホチキスのメーカーであるMは、もともとチープガバメントの方針で、本社管理部門をずっと増やさずにきた企業の一例である。

同社の総従業員数は約千2百人、グループ全体では約千9百人いるが、本社管理部門の人員は約65人である。 総従業員数の5%程度である。
これで総務、経理、人事などを一通りこなしている。 昭和39年の本社管理部門の編成表と現在を見比べると、総従業員数も本社人員もほとんど同じだそうだ。
違っている点と言えば、コンピューター関係を担当する事務管理部がその後出来たことぐらいだという。 現在問題になっているホワイトカラーの生産性がかなり向上していることにな秘訣は何だろうか。
「私が社長である限り、本社管理部門の増員要求はいくら出てきても、認めません」というH社長の言葉に鍵がある。 要は、増やさないでいる人数で出きる範囲で仕事をやれという原則を頑なに守ることにある。
これは言うはやすく行うは難しである。 相当の意思をもって抑えないと、すぐ増えてしまう。
「本社を大きくすると、いつの間にか統制的な仕事を始めるから、極力少なくして増やさない方がいいんです。 スタッフが権限を持ったら駄目です。あくまで裏方でなくては」とH社長は語る。

本社機構は現業部門に対するサービス業務を分担しているはずだが、だいたい本社が上のような空気がどこの企業でも支配的である。 本来、支援している側が、支援でなく指示するようになり、細々とくちばしを挟むようになると、目に見えないコストも膨大なものになってくる。
Mでは、例えば大規模な研修会でも人事部から出る人数は2人からせいぜい3人止まりで、研修会運営の実務は参加者自身が分担してやる。 それぞれに自主的にやってもらった方が研修会の狙いには合う。
各部門から出た研修運営者は、その仕事を通じて全社的な視点を持つようになる。 権限委譲とか権限の分散だとかわざわざ言わなくても、管理部門を必要最小限に絞っておけば、手が回らないから、権限は第一線に確保される。
「もし仮に増員を認めて研修専門のセクションを設けたら、たちまち人数が50人、60人と増えていく。そして書類が増え判子仕事が横行するようになる。Pの法則ですよ」とH社長は笑う。


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